ひたすら学んだ! 実践した! そして、つかんだ新しい人生!
〜鎌田進副代表と笑顔輝く〈治ったさん〉たち〜 その10
♪人は変われる!
鎌田 みなさん、セミナーの学びを実践に結びつけていらっしゃるのは素晴らしいですね。
竹内 私は73歳になりますが、この歳で妻とハグできるようになったんですよ。最初は、ことあらたまってハグしようとすると「何すんのよ、気持ち悪い」って(笑)。代表にハグしなければいけないと言われたって言うと、「また自分勝手な」って言われて。
野中 みんな自分勝手ですね(笑)。
竹内 それで、自分勝手な生き方をしてきた男ですまなかった。ガンになって協力してもらってすごく感謝している。口だけじゃなくてやっぱり態度で示すようにと代表に言われた。だから、これからは、最低一日一回はハグしますからよろしくね、って。
小林 わあ、すてきですね。
竹内 ま、苦労しましたが、自然にできるようになったのは、大きな成果だと思います。
鎌田 ガンを治した先の人生をどれだけ豊かにしていくかってことでは、当然奥さんとどれだけいい関係かが大きな課題ですよね。
竹内 別にけんかしているわけではないけど、どうしても酒でも飲まないと必要最低限の会話しかしなくなっていました。ガンになって私も変わったし、彼女も変わっっていった。今では酒を一滴も飲まなくても会話がはずみます。
鎌田 たかがハグされどハグ。大きな実践ですね。
竹内 この歳になっても出来るってこと。人間って変われるってことですよ。
野中 生き方を変えるって言われても、変えるってことを否定的にとらえる人が多いかもしれない。でも、人生ってどういうふうに自分が生きようとしているか、その模索ですよね。よりよい人生を求めて自分を磨きたいとか、高いものを目指すとか、そういう生き方が問われているのかもしれない。
鎌田 たいていの人は自分自身に偏見を持っていますからね、自分はこういう人間なんだと。それを変えるというのはなかなか難しいことです。
加藤 手当て実習会でも、ご夫婦で参加して奥さんが必死なのに当の本人はのほほんとしてる方が多いです。
鎌田 セミナーでも一定の割合でいますね。でも、私は歯痒いだろうけど、本人がやり出すまで奥さんは手を出すなって言うんですよ。たいていうまくいかないで、奥さんをうらむことになる。奥さんはご主人のために頑張ってきたのに、お前が悪いって言われて悩むことになりがちです。
野中 僕なんか、ラッキーなことに妻がそういうことをやる人じゃなかったから、僕が必死に料理を作り始めたんです。
加藤 野中さんのガンが分かったとき、奥さんはどうでしたか。
野中 僕は落ち込んだけど、ありがたいことに冷静だった。
小林 自分はこんなにやっているのに、なぜ手伝ってくれないんだとイライラしなかったですか。
野中 実はガンになる2年前に離婚をつきつけられていたんです。けど僕は別れたくなかった。ある人から捨てられないためには自分を素敵にするしかないと言われて努力していたけど、日の目を見ることなく、彼女は振り向いてくれず、ついにガンになり…。そのときは「私がガンを作ったのかもしれない」と思って、優しくなったんですよ、一瞬ね。でも冷静だったのは助かった。そうでなかったら、依存していたと思う。
僕は彼女にも他の人にも依存していたから、それが彼女の負担だったんで、それがよかった。
近藤 幸せはガンがくれた、ですね。
野中 彼女が依存させなかったから、僕は自立するしかなかった。そしたら、協力してくれはじめて…。
小林 うれしいですよね。
竹内 うちは似通っているけどちょっと違うかな。私はガンになって呆然自失。自分の自信が一気に崩れたんです。家内は「あんたは死なない、私がなんとかする」ってんで、退院後3カ月間、寝たきりに近くなった私の面倒を見てくれた。だけど、彼女は考えたんですね。このままじゃこの人だめになると。で、私をうまくおだてて、少しは歩いたら、食べたいものを自分で作ったらとか、上手に私を猿回しの猿のように調教しましたね(笑)。野中さんと真逆のパターンだけど、自立しましたね。そしたら、私は私なりに、彼女は自由な時間をとれてお茶の先生もできるし、シニア卓球の試合にも出てます。私はだめになる一歩手前でガンによって救われたんですよ。
野中 配偶者の方が前に出ると、難しいですよね。本人がやらないとね。うちは僕が先陣を切って食事も変え、生活習慣も変えていったから、彼女は元気になってきて、すごい恩恵を受けているんです。
加藤 じゃ、離婚の話はご破算になったんですか。
野中 なんかね、今は言わなくなって…。離婚はどうなったか分からない。でも分からないからいいんだと思うんです。彼女に捨てられないために僕はずっと自分を磨き続けなければならないから。この危うさ、緊張感が僕を真剣にさせるんです。
鎌田 いいですね、ずっと磨き続ける。ウェラー・ザン・ウェルですよね。
(2015年6月、横浜市内にて収録)
『いのちの田圃(たんぼ)』175号、177号より
『いのちの田圃(たんぼ)』175号、177号より

