2017年01月15日

自分で治す手はじめに 食事を改める@


ガンを契機に、真に価値ある人生を創造する…ウェラー・ザン・ウェル患者学の確率を目指す大型連載
ウェラー・ザン・ ウェルへの道 第5回

自分で治す手はじめに      
     −−−食事を改める @


川竹 文夫(NPO法人ガンの患者学研究所代表)


〜『いのちの田圃(たんぼ)』5号より〜


 抗ガン剤を拒否した友人に、主治医は言ったそうだ。
 「抗ガン剤で、半年の余命が、一年に延びた人がいるんですよ」
 「ふざけんじゃないよ」と、その友人は、激しい憤りを感じたという。当然である。
 友人が目指しているのは、そして患者の誰もが真に望んでいるのは、言うまでもなく、完全治癒だ。
 わずか半年、 先生のお力で長く生きさせていただこう などと思っているわけでは、断じてない。
 ガンになる以前にも増して、心身共に健康で幸せな人生を、この先、二十年も三十年も、笑顔で満喫しようとしているのである。
 それも、ただぼんやりと望むのではない。当然に実現可能なこととして、なのだ。
 にもかかわらず、たかだか半年の延命を誇らしげに語るとは! そうとでも言えば、友人が抗ガン剤に同意する可能性があるなどと、一瞬にせよ考えるとは! しかも、次のような捨てぜりふまで吐いたという。 
 「私の受け持った患者の中で、代替療法で治った人は一人もいません」 この医者は、もしかすると、無邪気で愛すべき人物なのかもしれない・・・これほどの無知と傲慢と恥知らずを、こんなにあからさまに見せることが出来るのだから・・・。

 さてしかし、こんな医者を育ててしまったのは、私たち患者にも責任がある。
 誤った生活習慣がもとでガンになったにもかかわらず、自らは何ひとつ改めようとせず、すべてを医者任せにしてこなかっただろうか。
 かつての私がそうであったように
 「先生だけが頼りです」と、運命も命も預けてしまっていないだろうか。拝むから威張る。それだけのことなのだ。
 とすれば、なすべきことは一つ。医者任せを改め、医者を利用しながら、『自分で治す』のだという決意と知恵を身につけることである。
 今号ではまず、そのためのステップを三つ、紹介する。

ステップ1 ガンの本質を知る

 ガン細胞の固まりが、検査で発見されるくらいの大きさ(0、5o以上)になった時、人は突然、ガン患者と呼ばれる。そのため、ガン細胞そのものが、ガンという病気の本体だと思い勝ちだ。
 しかしそれは、大きな間違いである。ガンという病気の本質は、『ガンを育てやすい体質』そのものにあり、ガン細胞は、その体質を反映して出来る、影にしか過ぎないのである(『ガンの本質図』参照)。

ガンの本質図.jpg







 どういうことか・・・。
 人の身体には、毎日例外なく、数個のガン細胞が新たに生まれている。しかし、免疫細胞が全身をパトロールし、見付け次第に駆逐しているため、一定以上にその数は増えない。多くの人が健康なのは、そのおかげである。
 ところが、なんらかの理由から免疫機能が衰えた時、ガン細胞は増殖を開始、やがては健康を損ねるまでに育ってしまう。
 では何故、免疫機能は低下したのか・・・ライフスタイル、食事、心の乱れが続いたためである。
 私は、そのような乱れの結果として出来上がった体質を『ガンを育てやすい体質』と名付けた。
 この体質こそが、ガンという病気の本質であり、正体なのだ。
 手術や抗ガン剤によって、せっかくガン細胞を取り除いても、再発してしまうことがあるのは、この、『ガンを育てやすい体質』が温存されているからに他ならない。
 そして、体質に最も直接的な変化を及ぼすものこそ、食事である。
 食事療法によって、ガンが完全治癒に至るのは、『ガンを育てやすい体質』が、根本から改善されたからである。
 食事は、単なるエネルギー源ではない。かつての私が誤解していたように、車にとってのガソリンのようなものでは、決してない。
 食事が身体を作り、体質を作り、命を育む。
 食べることは、生きること。いかに食べるか、それは即、いかに生きるかにつながっている。

ステップ2 肉信仰の誤りを知る

 ではどんな食事が、『ガンを育てやすい体質』の改善に役立つのか。ずばり、肉食中心から、玄米菜食への一大転換である。
 ところがその時、最初の障害となるのが、根強いアメリカ型食事への信仰。栄養といえば肉、スタミナといえば肉、という迷信だろう。だが肉には三つの大きな害がある。

@高カロリーの害
◆肉にたっぷり含まれている脂肪は、炭水化物の九倍ものカロリーがある。肉食は、どうしても高カロリーに結びつきやすい。が、低カロリー食の方が長寿になることは、種々の動物実験で有名。
◆低カロリーの状態では、限られたカロリーをガン細胞と正常細胞が奪い合う。その場合、勝つのは、正常細胞だという研究がある。
 理由の一つは、ガンの血管が正常細胞のそれに比べて、細くうねうねとまがっていて、いわば、田舎道を輸送するようなものだから。
◆高カロリーの点滴をすると、ガンが増殖しやすくなってしまうことは、よく知られている。つまり、高カロリーは、ガンに餌をやっているようなものなのだ。

A動物タンパクの害
◆肉や牛乳に含まれる動物タンパクが身体に役立つためには、肝臓で、脱アミノ作用という複雑な処理をしなければならない。このため肝臓は疲労。またこの時、尿素や尿酸(痛風の原因になる)という有害物質が出来る。これを腎臓が排泄しなければいけないので、腎臓も疲労してしまう。
◆『肝腎要』という言葉があるように、肝臓と腎臓は最も重要な臓器の一つ。疲労すれば、当然、免疫は下がる。現にガンがある人や再発のリスクを抱えている人にとっては、明らかにマイナス。
 ちなみに、大豆などの植物タンパクは、脱アミノ作用がいらない。
◆過剰な動物タンパクは、腸内で腐敗し(おならや便が臭いのはその印)、インドール、硫化水素、メタンガス、アンモニア、ヒスタミン、ニトロソアミンなどの毒素を作り出す。これらが大腸ガンを始め、さまざまなガンの原因になる。

B高脂肪の害
◆肉に脂肪はつきものだが、牛・豚・鶏などの体温は、人間よりも3度前後は高い。動物の血液中ではサラサラとしている脂肪も、人間の体内では凝固して、血液がベタベタと粘り、赤血球や白血球、リンパ球などが互いにくっついたダンゴ状態になってしまう。
◆となると、渋滞の道路と同じく、血液の流れが悪くなる。ことに、全身に張り巡らされた五十一億本もの毛細血管は、直径が0,005o以下しかない。当然、あちこちで渋滞を起こす。
◆その毛細血管を通って、全身をパトロールし、ガン細胞を見つけ次第に殺してしまうNK細胞は、最も頼りになる白血球の一種。が、渋滞では、働きようがない。
◆酸素を運ぶ赤血球が毛細血管を通れなければ、身体は酸素不足にならざるを得ない。酸素不足は、ガンの原因の一つ。
◆肉(つまり脂肪)を食べた後の白目の部分を顕微鏡で観察すると、赤血球やリンパ球などがベタベタくっつきあっている様子が見える。そして、この状態は、二十四時間も続くという(『胃腸は語る』弘文堂)。肉好きの人なら、二十四時間以内にまた食べるだろうから、その人の血液は、常にべたついていることになる。
◆栄養といえば肉、スタミナとくれば肉と考えがち。が、これこそ最大の迷信。肉食こそ、最も危険な『ガン育成食』なのである。

ステップ3 アメリカの変化を知る

 アメリカは、穀物と野菜を中心とした伝統的な日本食を模範に、着々とガン死を減らしている。
 一方、肉と牛乳の、古いアメリカ型食事を今だに理想としている日本では、ガン死は増え続けるばかり。何たる皮肉であることか!

◆一九七七年、アメリカで発表された『マクガバンレポート』は、穀物と野菜を中心とした伝統的な日本食を、人間の理想食として推奨。特に未精白の穀物(玄米・玄麦など)の摂取を増やすことを提唱した。
◆一九九〇年、アメリカの国立ガン研究所は、ガン死を減らすことに役立つ野菜や香辛料約四十種類を『デザイナーフーズ』として発表。ニンニク、大豆、ニンジン、玄米、海藻、きのこなど、おなじみの野菜を軒並み上位にランクした。
◆一日に五皿の野菜を食べようという「ファイブ・ア・デイ」運動を推進した結果、野菜の消費量は二十%増加、それにともなって、ガン死亡率の低下が続いている。
◆アメリカではすでに、牛乳や乳製品の反省期に入り、小児科医の多くは、低脂肪のスキムミルでさえ、コップ一杯以上は飲まない方がいいと考えているという。

 一九九〇年、私はガンになった。 
 「ガンの原因なんか分からない」 
 その頃はまだ、そう言って恥じない医者が多かった。
 が、その彼らも今では、「原因の三十〜三十五%は、食事にある」と認めるまでになってきた。
 しかも最近、国立ガンセンター名誉総長の末舛恵一氏は、ある講演会で次のように述べている。
 「抗ガン剤や放射線は、副作用や免疫力低下が難点、食事改善を含めた、他の選択肢を考えるべきだ」
 時代は、確実に変化している。
 患者には抗ガン剤を使用する医者が、自らガンになれば、まったく使わない例を、私は複数知っている。 同じように、「玄米でガンが治るなら、医者は要らない」と豪語している医者たちが、こぞって玄米を食べる日も近いかもしれない。
 事実、複数の現役の医者が、素人であるこの私のもとに、「玄米菜食で治したい」と言って、相談にきたことがある。
 あくまでも、こっそりとではあるけれど・・・。


posted by NPO法人 ガンの患者学研究所 ガン患研 at 07:46| 月刊『いのちの田圃(たんぼ)』