【フラメンコで治すと決める】


池田郁子さん
2005年6月乳ガン。術前抗ガン剤8クール。
温存手術。術後放射線27回三大療法のフルコース。
念のため、分子標的薬ハーセプチン9回。
しかし、その2か月後股関節転移。
延命のため抗ガン剤を勧められるも、拒否。
どうせ死ぬかもしれないのなら今できることを
精一杯やってみようとその後、徹底的に自助努力。
自己信頼を貫き見事〈治ったさん〉に!
小林 三大療法のフルコース後、池田さんはひたすら自助努力をされたのですが具体的にどのようにされたのでしょう。
池田 半身浴と食事療法とウォーキング。ほとんどそれだけを一生懸命、24時間ぐらいやっていました。半身浴も一日中やっていて、お風呂の中で本を読んだり、ご飯食べたり、ほとんどお風呂の中で生活している状態でした。
食事は、玄米とお味噌汁、それに舞茸を蒸したものをおかずとして毎日、朝、昼、晩、ほぼ2年間。
小林 それのみを続けられた…これも世界遺産に匹敵しますね。
池田 股関節に転移しているから、車椅子で生活するように言われたので、最初のころは、本当に歩くのが怖かった。けれども歩けなくなったら死んじゃうんじゃないかと思ったので、毎日、1メートル、2メートル、3メートルと距離を延ばしていきました。
始めたころは、信号が青になるのを待ち、青になったとたんに一生懸命渡るんですけど、途中で赤になってしまう。それが、だんだん信号が渡れるようになり、そのうち、ちょっと小走りできるようになって…。
小林・柳澤 すご〜い!
小林 すばらしい自助努力ですね。2009年8月、ガンが消失していたということですが、そもそも病院に行くことになったのはなぜなんですか。
池田 自助努力で、だんだん身体が元に戻ってくるにつれて、心も自然に正常な状態にもどりたいという欲求が強くなってきて、今まで溜め込んだヘドロのような、憎しみとか悲しみとか辛さとかそういうものがパアーと、発作のように出てくることが、何回かありました。それがだんだん数が少なくなってきたとき、わあーと感謝の気持ちが湧き上ってきたんですね。
病院の先生に対しても何も挨拶もせずに出てきてしまったけれど、元気な私を見ていただいてお礼を言いたいという気持が強くなったんです。それをやらないと駄目なんじゃないか、先に進めないんじゃないかなって思いました。
で、電話で予約を取って病院に行きました。先生は私を見て、死人を見ているような顔。
小林・柳澤 そんなあ!
池田 それから、5秒ぐらい間隔をおいて、いきなり、ニコっと笑って、「良かったね」っておっしゃった。
私、それを見て病院に来て良かったなって思いました。
それからいろんなことを話したんですが、「転移したというのは、僕の間違いだったかな」とおっしゃいましたね。
小林・柳澤 えー! 頭にきますよね。
池田 私もちょっとそう思ったんですけど、そのときは、私、人間ができてますから(笑)、あ〜あ、しょうがないなと、素直に「生きてますよ、治りましたよ」って。
そしたら、先生がちょっと検査してみたらって。
小林 そういうわけだったんですね。そして、PET検査をして、結果はシロ。
池田 先生は何にもないから、治ってるよとおっしゃったけど、イヤ、治ってませんって。
小林 シロって言われたら普通は大喜びですけど、池田さんはそうじゃなかった。
池田 一番最初にガンと言われた時は、すぐに信じちゃったんですよ。でも今度、治ってるよと言われたときに、イヤ治ってないと思いました。自分の身体というのが、ものすごくよく分かっていて、股関節にしこりがあったし、誰がなんといってもまだ治ってないと感じていました。
小林 治っていると言われて、おしまいにしなかったんですね。
池田 股関節の違和感をなんとかしなければってずっと考えていたんですが、ある時、テレビで痛みのある場所は、動かさないと血流がよくならないって話を聞きました。
じゃ、血流をよくしなくちゃ、と前々からやりたかったフラメンコをやることに。
小林 ええっー、こんなときに、フラメンコですか!?
池田 フラメンコって、ステップを踏むときに、股関節をよく使うことに気がついたんです。始めはあまり、激しい運動ができないので、フラメンコの先生に経緯をお話しして少しずつ、少しずつ。
そして、3カ月ぐらい経った時、ハッと気がついたら、しこりが感じられないんです。治ったんだって、そのとき思いました。

小林 ホントに素晴らしいです。(拍手)
池田 踊っているときは、ステップを間違えないように、必死。次第にそのことしか、今やっていることしか考えないんです。
小林 〈今〉に集中できて、〈池田郁子〉でなくなるっておっしゃってましたね。
池田 すごい心のデトックス。フラメンコがきっかけになりました。
(大きな拍手)
小林 世界遺産に認定させていただきます! おめでとうございます! (拍手なりやまず)

『いのちの田圃(たんぼ)』171号より