絵本『どんどんどんどん』が大好きで、なのに、うっかり捨ててしまったことに気づいて(私には、よくあること)、慌てて注文したら二冊届いた(これも、よくある)。
また捨ててしまったとき助かるかなと一瞬思ったけれど、捨てるときはきっと(私のことだ)、二冊一緒に捨てるだろうね。
それにしてもいい話だったと、また、昨日の三輪さんの話を、心の舌で転がしている。絵本にしてみたいな・・・。
京都列島縦断講演会の後片付けの最中だった。私は彼の肩を叩いて、小さく叫んだ。「い~いですよ、それ。〈治すガンバリ世界遺産〉ですよ、無形のっ!」
鬼の形相(彼曰く)で毎日散歩を欠かさなかったとき、ガンはどんどん大きくなるばかり。「誰も寄りつかんし、犬にも吠えられて・・・」
ついに死を覚悟した彼は、小学校一年生の遠足で行った場所を訪ねた。何のために?
「もうあかんので、人生を振り返っておこう、思って・・・」
二年生の遠足の場所にも行き、三年生のそこにも。そのときふと思う。
「今、自分は死にそうになってるけど、あんなに元気いっぱいのときがあったんやな」と。
そう気づいた瞬間。
「なんや、ふ~っと楽になったような気がして・・・」
次第に柔和な笑顔で散歩ができるようになり、「犬が尻尾振って寄ってくるんですわ」・・・いつしか、四つの転移ガンは全部消えていた。ワーオッ!
再会した絵本をゆっくり広げながら(もう捨てたりしないからね、しばらくは)、私はまた、心に叫ぶ。ホンマにエエ話やで!
詳しくは、学会シンポジウムで御本人の名調子をたっぷり聞いていただくことにして・・・私はつくづく思うのだ。
人に歴史あり、物語あり。ガンには人生のドラマが詰まっている。それは誰にもあり、けれど、決して二つとは、ない。
そのかけがえのなさこそ、主人公を支え癒やし治しウェラー・ザン・ウェルに導き実現させ満喫させ・・・『いのちの田圃』に集う、あなたとあなたとあなたとあなたも、どんどんどんどん包み巻き込みのびて広がり広がって、やがて世界を変えていく、とてつもない力になるのだ、きっと。
会報誌『いのちの田圃』巻頭言より